La Plume d’ALFI:グローバル交渉のプロから学ぶロビイングのテクニック
仏検1級合格者の会(ALFI)は先日、プロとして活躍するフランコフォンによるセミナー「ALFI Academia」を開催しました。
今回はEuropean Business Council in Japan(EBC)のCOO(最高執行責任者)であるValérie Moschetti氏をお招きし、「ロビイングのテクニック/Lobbying dans tous ses états 」と題したセミナーを開催しました。
*Valérieの詳細についてはコチラをご覧ください。
ロビイングと公共政策のエキスパートであるValérie氏から、その定義や実践的なテクニックを学ぶことができ、実りの多いセミナーとなりました。
今回の「La Plume d’ALFI」では、そんなALFI Academiaで学んだ内容をご紹介します。
ロビイングの手法と歴史
セミナーはまず「ロビイング」の定義とその歴史の紹介から始まりました。
「ロビー」という言葉は英語で「玄関」や「待合室」を意味し、イギリス下院のロビーがその起源です。ここでは議員が「ロビイスト」と面会しており、当時から個人的な関係が意思決定に影響を与えていたと言えるでしょう。
現代のロビイングは、「政策や意思決定プロセスに影響を与えることを目的とするすべての活動」と定義されます。ロビイストは、コンサルタント、企業、シンクタンク、学術機関、宗教組織、地方自治体など、多岐にわたる組織や個人を指します。ロビイングの目的は、公的機関に対して利益を追求するため、法律、規制、基準に働きかけることです。目的達成に向け、意思決定者との会議や広告キャンペーン、技術的な専門知識の提供などが行われます。
ヨーロッパにおけるロビイングの仕組み
次に、Valérie氏自身の欧州連合(EU)における専門性と経験をもとに、ヨーロッパにおける現代のロビイングの例を紹介してくれました。
ヨーロッパではロビー団体はEUの決定に影響を与えるため、機関のメンバーとの個別接触、メディアと大衆への呼びかけやデモ活動、シンクタンクや諮問グループへの参加など、幅広い手段を用います。非政府組織(NGO)が同様の役割を果たすこともあります。
これらの活動を規制するため、ヨーロッパでのロビイングは2021年から欧州委員会、欧州議会および欧州連合理事会に共通のデータベースである「EU透明性登録簿(Transparency Register)によって透明性が担保されています。2023年1月時点で12,461団体が登録されており、Transparency Internationalによると、約48,000人がブリュッセルで欧州の機関や決定に影響を与えるためにロビイングを行っています。
キャリアに役立つ7つのロビイングテクニック
最後に、ロビイングを成功に導くポイントの中から日常でもすぐに意識できる7つにフォーカスして教えてくれました。
- 人脈づくり
ロビイングでは、意思決定者や同僚、ビジネスパートナーと強固な関係を築く。そのために定期的にプロフェッショナルが集まるイベントに参加し、ネットワーキングに積極的に関与する。 - 説得力のあるコミュニケーション
書面と口頭の両方において情報伝達スキルを向上させ、説得力のある議論を構築し、アイデアを明確かつ一貫して表現する方法を確立する。 - 調査と分析
関連するトピックについて徹底的な調査を行い、データやトレンドを分析して議論を裏付ける。 - 戦略的な同盟の形成
同じ考えを持つ他の専門家と協力し、集団としての影響力を強化する。 - セルフイメージの管理
プロフェッショナルなイメージを確立し、かつ自身の行動に対する周りの反応を予測し、周囲からの信頼を獲得する。 - 継続力
意思決定者や関係者と定期的に連絡を取り続けることで、影響力を維持し、関連業界や政策の進展について情報を入手し続ける。 - 適応力と柔軟性
直面する課題や機会に応じて戦術を調整し、状況や戦略の変化に迅速に対応する。
これら7つのポイントを自身の専門分野で応用すれば、より大きな影響力を持ち、キャリアで成功することができるでしょう。ロビイングはネガティブな意味を持つこともありますが、さまざまな職業環境で応用できる有益な方法でもあります。
いかがだったでしょうか?今回のセミナーを通じて得られた知識が、今後皆さんのお役に立てば幸いです。
ALFIでは引き続き、フランス語を通じて新たな世界を発見するためのイベントを開催していきます。Valérie氏が紹介してくれたロビイングのテクニックを最大限に活用しましょう。