仏検1級に合格された方々の
合格体験記を紹介いたします。
まだALFIの会員でない方、
これから1級を目指される方も
是非参考になさってください。

2024年合格のT.I.さんの場合

「純ジャパ」記者の仏検体験記

職業: 新聞記者
年齢: 42歳
フランス語学習歴: 大学の仏文科専攻時代を含めて計8年間。
フランス語圏滞在年数:仏語圏への留学、滞在経験はありません。


仏検1級試験、2回目の挑戦

私は東京の大学でフランス文学を専攻した後、新聞記者として16年近く働いてきました。仏文専攻を選んだのは必修の第2外国語として選んだフランス語の授業にひかれたからです。経済的な理由でフランス留学は叶いませんでした。フランス語圏との関わりは、今よりもずっと円高だった20年前、アルバイト代をためて2週間ほどパリなどを旅行した程度です。ただ、個性豊かな大学の教授陣の教えは、警察や経済担当など多忙な新聞記者生活でも、心の奥に残っていました。転勤で東海地方の拠点に赴任した後、一念発起してフランス語学習を再開しました。仏検1級試験は2度目の挑戦で、合格しました。

1次試験対策

大学時代に学んだ文法を確認し、思い出すために仕事の合間に文法書をひっくり返したり、オンラインのフランス語授業を受けたりしていました。とりわけ、オンラインレッスンは絶大な効果があったと確信しています。日本語をまったく使わずに、フランス語だけで仏語圏の講師と、国際ニュースについてディスカッションをするという経験は、大学時代にもなかったことでした。発音や、文章の理解について仏語で指摘を受けるという体験は、最初は冷や汗が出ました。ただ、講師から「あなたはフランス語を知っているかもしれないが、使いこなせてはいない。実践あるのみ」と何度も励まされ、3年がたった現在も、30分1コマ、週4日のペースで続いています。地方在住の社会人にとって、大都市の仏語学校に時間をかけて通学するという選択肢はあまり現実的ではなく、オンラインレッスンの普及に助けられています。1日30分程度ならば日々の仕事の妨げにもなりません。

仏検1級向けの対策として、長文問題を的確に把握するためにFrance 24を視聴したり、ルモンドやその他、仏語の新聞をネットで読んだり、推理小説を読んだりしていました。日本人作家の小説の仏訳を読むことが多かったですが、単語力を強化するという意味では、文化的な背景が理解できる作品のほうが良いと、個人的には感じています。作文は書店で求めた仏作文の本を読み、問題を書き写す、ということを繰り返していました。

2次試験

フランス語のオンラインレッスンを継続的に受けており、試験向けに特別な対策はしませんでした。仏語だけのレッスンを受け続けていると、少しずつではありますが、試験の受け答えで求められる時事問題について仏語で表現できるようになります。「継続は力なり」という格言を実感しました。

仏検試験を受けるということ

大学時代は正直申し上げて、あまり仏検を重視していませんでした。卒業時には2級で、その後は新聞記者としての仕事に忙殺され、しばらく離れていました。この3年間で準1級、1級を受けて感じたのは、一見して難解に思える問題でも、それらをクリアするために網羅的に勉強することで、仏語の総合力が向上するということです。オンラインレッスンを組み込むことで、仏語で国際ニュースを読むことができ、仏語圏の人にもある程度のレベルでインタビューができるようになりました。それは自分の中ではとても大きな一歩だったと確信しています。社会人として仏検と向き合ったとき、1級合格へのプロセスは、マラソンの伴走者のようなものだと感じています。伴走者がいることで、自分でも気づかぬうちに仏語力がアップするのです。

2024年合格のT.D.さんの場合

「合格を左右した、聞き取り・書き取り」

職業: 音楽イベント企画制作
年齢: 60歳
フランス語学習歴: 26年
フランス語圏滞在年数:数日以上の滞在経験無し


2002年に2級に合格して以来、20年以上仏検から離れていました。しかし、会社を退職して個人事業主として再出発した私は、自分のフランス語能力を客観的に証明する必要性を感じたため、今回改めて仏検に挑戦しました。そして、準1級、1級と続けて挑み、幸運にも合格することができました。

準1級と1級の難易度の差は大きいと感じました。1級一次試験では、nominalisation や vocabulaire で苦戦しつつも、書き取りと和文仏訳で比較的高得点を得られたことが合格につながったようです。F2ニュースの聞き取りや書き取りを毎日実践してきたことが役立ったのだと思います。この習慣はフランスの新しい出来事に触れると同時に、時事用語を含む語彙を豊かにする効果があったと思います。またそれが結果として2次試験の論述や質疑応答においても、効果を発揮したと考えています。

私のフランス語学習の目標は「フランス人とできるだけ自然に会話できるようになる」ことです。地道に学習を続け、会話の相手にストレスを与えないレベルまで上達できるようになりたいと思っています。

2024年合格のT.M.さんの場合

遠回りでもいいから自分の頭で考え表現する地力を養おうと」

職業: 通訳案内士
年齢: 77歳
フランス語学習歴:12年
フランス語圏滞在年数:1年


筆記試験が合格基準点ぎりぎり、二次試験は50満点中48点。老体を顧みず小躍りしたのは言うまでもありません。ローラン・ファビウス元外相が提案したフランス語俳句コンクールに運よく入賞したのをきっかけに再度始めたフランス語。私はすでに還暦をとっくに過ぎていました。通訳案内士の試験はパスしたものの、仏検1級は私にとって大きな壁でした。受験は年中行事のように繰り返され、結果はいつも失意のうちに散っていきました。あとわずか、及ばなかった数点を己の粗忽さのせいにしたりしましたが、そんな悔しい思いもこれで終わりと安堵する一方、語学に終点はないと改めて気を引き締めています。

それにしても外国語学習を取り巻く環境は、昨今、インターネットの発達のおかげで私の現役の学生の頃、つまり半世紀前とは比較にならぬほど豊かになっています。パソコンを立ち上げれば、フランス語の新聞や雑誌に自由に目を通し、フランス語放送をダイレクトに視聴し、またフランス人ユーチューバーにも苦労なしにアクセスできる世の中です。そんな日課を通じて気になった表現や単語をノートに書き留め、生きたフランス語が身につくようにと努力してはきましたが、それらは、いまや私の宝物になっています。対策講座に通ってそつなく得点するより、遠回りでもいいから自分の頭で考え表現する地力を養おうと取り組んできた方法が、実を結ぶにはかなりの年月が必要でした。

松尾芭蕉がおくの細道に旅発ったのが46歳、伊能忠敬が日本地図作成に着手したのが56歳。当時の平均年齢から推し量ればかなりの高齢です。先人たちの強い意志を考えれば、私なんぞはまだまだ青二才、道半ばにして、これからが本領発揮という決意です。元コピーライターとして、これまで私が学んできたこと、経験してきたことなどを活かしつつ、フランス語を通じてなお一層のご恩返しができればと思っています。

2024年合格のBanyulsさんの場合

20年の時を経て

職業: 大学教員                          
年齢: 35歳
フランス語学習歴:20年

フランス語圏滞在年数:短期留学計2回(1年未満)  

 


フランス語の学習を始めたのは中学時代。英語と並行して基礎文法を学び、高校でも英仏両方を学べるカリキュラムだったため、比較的恵まれた環境で学習を続けることができました。その結果、高校卒業時にはB2を取得していました。
その後、短期留学を経てDALF C2まで順調に取得しましたが、仏検には一度も挑戦したことがなく、まったく未知の領域でした。何度か受験を考えたものの、これまで会話中心の学習を続けてきたため、文法を体系的に学ぶ機会が少なく、試験への不安が大きかったのが正直なところです。しかし、DELF/DALFの全レベルを取得した今の自分が仏検に挑戦したらどうなるのかーーそんな実験的な気持ちで1級を受験することにしました。
試験本番、前半の問題はほとんど解けず、絶望的な気持ちに。しかし、結果はまさかの一次試験合格。
まったく受かるとは思っていなかったので、自分でも驚きました。
仏検はとにかく「文法重視」というイメージがありましたが、実際に受験してみて感じたのは、特に1級では総合的なフランス語力の「幅」が問われるということでした。(もちろん、だからといって文法をおろそかにしてよいわけではありません。)

一次試験対策:新聞記事の精読

特別な試験対策はしませんでしたが、何もしなかったわけではありません。毎日最低5記事、LeFigaro の記事を精読し、その中で使えそうな表現をノートに書き留め、口に出して練習することを日課にしました。
文法の精度をさらに上げることは今後の課題ですが、このような日々のルーティンを続けたことで、フランス語の総合力を高めることができ、それが合格につながったのだと思います。

二次試験対策:論理的なエクスポゼの練習

さすがに二次試験は対策なしでは厳しいと感じ、一人で壁に向かって話す練習を始めました。しかし、普段からフランス語を話し慣れていても、3分という短い時間の中で論理的に意見を組み立てることは予想以上に難しいと実感。
そこで、仏検に特化した対策を提供している「アミティエ外国語教室」のオンラインレッスンを受講しました。同じく一次試験を通過した3人とともに、本番さながらの練習を繰り返すうちに、3分間の時間感覚や、説得力のあるエクスポゼの構成を学ぶことができました。緊張感のあるレッスンでしたが、試験に向けて非常に有意義な準備ができたと感じています。

運命的な再会と試験本番

二次試験当日、会場へ向かう道すがら、ふと「もしかすると、これが最後のフランス語試験かもしれない」という思いがよぎりました。
緊張しながら試験室の扉を開けると、そこに座っていたのは、なんと20年前に私に初めてフランス語を教えてくださった先生。それ以来の再会でした。
フランス語を片言しか話せなかった私しか知らない先生が、1級の試験官として目の前にいるーー。まるで、自分の成長を証明する場に立ち会っていただけたような気がしました。

試験終了後、先生は笑顔で「これまで、本当にたくさん努力されましたね!」と声をかけてくださいました。その言葉を聞いた瞬間、「続けていてよかった」と、心の底から思いました。

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2023年合格のS.I.さんの場合「私と仏検1級の試験」

職業:フランス語通訳案内士 年齢:64歳 フランス語学習歴:20年 合格するまで何度も受けた仏検1級の試験でした。不思議なことに何回落ちても諦める気にはなりませんでした。今から思えばすぐに合格しなかった分、フランス語の知 […]

 2014年合格のY.S.さんの場合:「継続は力」

職業: 会社員年齢: 25歳フランス語学習歴: フランスの現地校で12年、エコール・プリモで2014年2月から週3.5時間(通訳講座、仏作文)フランス語圏滞在年数: 17年 1)二度目の受験 私は2006年に一度仏検1級 […]

iKKさんの場合:「仏検とDALF 一石二鳥?それとも二兎一兎?」

私はDALF試験に初挑戦するつもりで、東京日仏学院のDALF講座を受講していました。出願時に、隣にあった仏検のポスターを見てダブル受検を思い立ちました。DALF講座では多くを学びました。週1回2時間の授業をペースメーカー […]

Abelさんの場合:「仏検1級合格のための独学法」

現在,公立中学校に勤務しながら,フランス語学習を継続しております。勤務校での日々の生徒指導に取り組みながら,留学経験もない一数学科教諭が,「ごく限られた時間の中で仏検1級に合格するための方法とは何か?」という問題に対する […]

 S.Yさんの場合:「小1から小4までフランスに滞在→リセへ」

私がフランス語を始めたのは父親の仕事で小学校1年から4年間フランスに住んだことでした。 現地校に通い、学校ではフランス語、家では日本語で最初のうちは、本当にたいへんでした (言語は子供のほうが吸収しやすいといいますが、子 […]

2014年合格のK.S.さんの場合:「スパイ小説の乱読とポッドキャスト」

効果的だった学習方法:1. SAS Prince Malkoシリーズの乱読による長文読解への恐怖解消。2. Learn French by Podcastによる通勤時の学習(英語での解説で英仏語双方に効果あり。)3. NHK Radio Japanのフランス語放送をPodcastで貯めておき、日本に関する話題に触れ、ボキャブラリーを補った。これが特に2次試験対策に役立った。